断面修復工 意外と知られていない施工上の注意点3選

『断面修復工』は、橋梁補修工事において、最も代表的な工種です。

工事発注された時には、設計図面に補修図が記載されているのですが、現場条件によっては過大になってしまっていることが多々あります。

実際の現場に即した補修を実施するこで、実質的に橋の長寿命化に寄与できるような補修をしていきたいですね。

・断面修復工ってどこまでやるのが正解なの?と疑問がある人
・設計図面通りでは非効率に感じてしまう。
今回は、かなりマニアックな内容になっています。

劣化因子が何かによって補修方針は多岐に渡りますが、今回は一番オーソドックすな補修に限定して話していきたいと思います。

ぼぶけん
人によって様々な見解があると思いますので、監督員と協議して決定してください。
(定型文)

そもそも断面修復とは?

断面修復工法とは、コンクリート構造物において、鉄筋の腐食等により、コンクリートが浮きや剥離を生じている箇所を補修する工法です。

断面修復工法は、2種類に分類することができます。

①防錆処理を伴う場合
②防錆処理が必要ない場合

補修範囲の大小や施工条件によって様々な種類がありますが、一番大きいところではこの二つに分けられます。

壊し過ぎ注意!鉄筋の腐食の進行具合は?

補修屋さん
ぼぶけん!設計通り断面修復したいんだけど
硬すぎて壊れないんだけど
設計図面では、鉄筋腐食に起因する断面修復については、鉄筋の裏までコンクリートをはつり落とすことを標準として記載されています。
しかし、実際施工をしてみると、鉄筋腐食は表面の外側に近い部分だけで、内側はほとんど腐食していないケースがあります。
こういった場合は、鉄筋の錆びているところまでのコンクリートをはつりとり、鉄筋腐食箇所を十分にケレンしてから断面修復工をすれば十分なことが多いです。
ぼぶけん
図面に記載があるからと言って一辺倒にはつってしまうと
健全だった部分も壊してしまって返って悪くなる・・・。
断面修復工は、ポリマーセメントモルタルの付着力のみでもたせる工法であるため、既設構造物と一体化している訳ではありません。
そのため、竣工当初の躯体を壊せば壊すほど健全性は損なわれると考えて間違い無いでしょう。
もちろん、鉄筋腐食状況を見て、削りが必要なレベルかどうかを現場ごとに判断することは難しいと思います。
しかし、適切な判断をしていかないと、せっかく補修しているのにベストな補修ではないってのは寂しいですよね。
※ただし塩害により、塩化物イオンが浸透している場合は、鉄筋の裏側までしっかりはつりとって対策をする必要があるので、損傷の原因を見極めることが重要です。

フェザーエッジを作らない

フェザーエッジというのは、断面修復箇所の端部を鋭角な状態でモルタル補修することを指します。
モルタルは基本的に10mm程度の厚みがあって初めて所定の強度を発揮するような規格であることが多いです。
そのため、端部をなだらかな形で処理していると、せっかく補修した後でも数年以内に剥離してしまう可能性があります。
実際の施工では、ディスクサンダーやコンプレッサーカッターにより、コンクリート面に対して鉛直に10mm以上の深さでカッターラインを入れます。
そうすることで理想的な補修を実施することができます。

練り混ぜ水量や最大塗布量はちゃんと守ろう

案外見落としガチですが、材料の規格通り施工することは非常に重要です。

職人さんによってこだわりに差があり、練り混ぜ水が極端に多かったり少なかったりするケースがあります。

多すぎたりすると、硬化までの時間が所定の基準よりも長くなってしまい、ダレて浮きが生じる懸念が出てきます。

また、最大塗布量はとても大事です。

例えば側壁の場合、一般的には2cm程度であることがほとんどですが、3〜5cmを一発で仕上げようとする職人さんはごく稀にいます。

側壁であっても、規格を守らずにやってしまうと、翌日には固まってはいるものの、ダレてしまっていのでやり直しをすることになってしまいます。

まとめ:現場をよく観察し、丁寧な対応を

断面修復工法は最もポピュラーな補修工法であり、割と簡単に捉えられがちです。

しかし、橋の健全性をあげることを第一に考えると、意外と深く考えられることはたくさんあります。

最適な方法を考えようとするとキリがありませんが、どうせやるなら出来るだけ良い方法を使いたいですよね。

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