2級土木施工管理技士の第二次検定で、多くの受験者が最も苦労するのが「経験記述」です。専門用語や技術知識があっても、論文としてどう組み立てればいいのかが分からず手が止まってしまうという人は少なくありません。

この記事では、経験記述で何が問われているのかを整理したうえで、合格しやすい論文の「型」と、その型に沿った具体的な記述例を紹介します。読み終えた頃には、自分の工事経験をどう文章に落とし込めばいいか、道筋が見えている状態になるはずです。

2級土木施工管理技士の経験記述とは?出題形式と評価ポイント

経験記述は、第二次検定(旧・実地試験)で出題される必須問題で、自分が実際に経験した工事を題材に、技術的な課題とその対応を記述する問題です。他の問題と違い「正解を選ぶ」のではなく「自分の経験を論文としてまとめる」形式のため、対策の方向性そのものが分からなくなりやすい分野です。

経験記述で問われる内容

出題は主に「工事概要」と、いずれかの管理項目(品質管理・安全管理・工程管理など)に関する設問の組み合わせで構成されます。設問で指定されたテーマに沿って、自分が経験した工事の中から適切な事例を選び、課題・対応・結果を記述する形が基本です。

採点で重視される3つのポイント

📌 経験記述の評価軸
  • 具体性:数値や工法名など、現場が思い浮かぶ具体的な記述になっているか
  • 論理性:課題→対応→結果の流れに矛盾や飛躍がないか
  • 技術者としての判断:単なる作業報告ではなく、自分がどう考え判断したかが書かれているか

経験記述の基本構成(型)|合格しやすい論文の組み立て方

経験記述は、決められた「型」に沿って書くことで大きく書きやすくなります。多くの合格者が採用しているのが、次の4パーツで構成する方法です。

1
工事概要(工事名・工期・工事内容など基本情報)
2
特に留意した技術的課題
3
検討した項目と課題解決のための対応
4
そのことによって得られた結果・現在の評価

「工事概要」の書き方

工事概要は、工事名・工事場所・工期・発注者・工事内容などを簡潔に記載する部分です。ここは事実を正確に書くだけでよく、凝った表現は不要ですが、後続の課題や対応と矛盾しない工事内容を選ぶことが重要です。

「特に留意した技術的課題」の書き方

ここが論文全体の出来を左右する最重要パートです。「なぜその課題が発生したのか」という背景を、現場条件(地盤・気象・周辺環境・工期制約など)と結びつけて説明します。

📌 書き方のコツ

「〇〇という条件下で、〇〇を確保する必要があったため、〇〇が課題となった」という因果関係が伝わる形にすると、読み手が状況を理解しやすくなります。

「検討した項目・課題解決のための対応」の書き方

課題に対して、自分がどう考え、どのような対策を選んだのかを記述します。ここで重要なのは、「作業をした」ではなく「なぜその方法を選んだのか」まで書くことです。複数の選択肢を検討したうえで、その工法・手順を採用した理由が書かれていると評価が上がりやすくなります。

「結果・現在の評価」の書き方

対応の結果、課題がどのように解決されたかを具体的な数値や状態で示します。可能であれば、「その後の現場でも同様の手法を活用している」など、現在につながる評価まで書くと論文としての完成度が高まります。

【記述例あり】構成に沿った経験記述サンプル

実際の型に沿った記述例を、テーマ別に紹介します。そのまま使うのではなく、自分の工事内容に置き換える際の参考にしてください。

品質管理を題材にした記述例

【技術的課題】
本工事は軟弱地盤上での路床盛土工事であり、施工後の不同沈下を防止するため、締固め度の管理が課題となった。【対応】
盛土材の含水比を事前に確認したうえで、まき出し厚を従来より薄い20cmに変更し、RI計器による締固め度の管理値を95%以上に設定して施工した。あわせて試験施工を実施し、締固め回数と含水比の関係を確認した上で本施工に反映した。【結果】
全区間で管理値を満たす締固め度を確保し、竣工後の不同沈下は発生していない。

安全管理を題材にした記述例

【技術的課題】
本工事は市道に近接した箇所での掘削作業であり、通行車両・通行人への安全確保が課題となった。【対応】
掘削箇所の外周に仮設防護柵を設置し、交通誘導員を配置したうえで、作業時間を交通量の少ない時間帯に調整した。また、朝礼時に当日の作業範囲と注意点を作業員全員に周知した。【結果】
工事期間中、第三者災害・事故は発生せず、安全に工事を完了することができた。
Q
記述例をそのまま使ってもいいですか?
A
そのまま使うのはおすすめしません。試験官は多くの論文を見ているため、汎用的な文章はすぐに見抜かれます。構成だけを参考にし、内容は必ず自分の工事経験に基づいて書きましょう

経験記述で減点されやすい注意点

構成が正しくても、内容の書き方によって評価が下がってしまうケースがあります。代表的な失敗パターンを確認しておきましょう。

抽象的な表現になってしまうケース

⚠ 注意

「しっかり管理した」「注意して施工した」といった抽象的な表現だけで終わると、具体性が乏しいと判断され減点対象になりやすくなります。何を、どのように、どの数値まで管理したのかを書くことが大切です。

数値や工夫が欠けているケース

⚠ 注意

結果部分に数値や具体的な変化がないと、対応の効果が読み手に伝わりません。「〇〇%向上した」「〇〇日短縮できた」など、可能な範囲で数値を入れることで説得力が大きく変わります。

よくある失敗 改善のポイント
作業内容の報告だけになっている なぜその方法を選んだのか、判断の理由を加える
課題と対応がずれている 課題で挙げた内容に対応する形で対策を書く
結果が抽象的 数値や具体的な状態で示す

まとめ|経験記述は「型」を守れば書ける

経験記述は、独創的な文章力が求められるものではありません。「工事概要→技術的課題→対応→結果」という型に沿って、自分の経験を具体的に落とし込むことができれば、十分に合格レベルの論文を書くことができます。

まずは自分が経験した工事の中から、課題が明確だった事例を1つ選び、この記事の型に沿って書き出してみることから始めてみてください。